2008年10月22日(水)
隠密業 [思いつき]
そろそろ紅葉の季節も近づいてまいりました。このあたりはこれからが一番よい季節になりまする。
あ、わたくしは、初と申します。大きな声では申せませんが、何を隠そう公儀隠密をしております。吉宗様の頃より表向きは御庭番として勤めさせて頂いております。普段は町中を歩いていることがおおございます。
内容は事が事ですから詳しくは申せませんが、殿より直接ご指示頂く事もございます。
家老の上屋敷に忍び込み、賄賂などの証拠を挙げることから、地方大名などからきな臭い話が聞こえてきたら、足を運び証拠を集め殿にご指示を仰ぎます。その結果、闇から闇へ葬られた人数は数知れません。
吉宗様は隠密に対し、男女のわけ隔てなく、適材適所にわたくしどもをお使いになられます。しかしながら唯一女にしかできない仕事。いくら公儀隠密といえども、その時の気持ちは…、あとはご想像にお任せします…。
わたくしもおなごにござります。殿の勅命として命すれすれの修羅場もかいくぐってまいりましたが、気づけば27才。世間におりましたならば、夫がおり、子がおり、つつましくも楽しい家庭を築くことができていたのではないかと…。たまにそんな夢を見るときがあるんです…。
しかしわたくしはしがない公儀隠密。今からはどうすることもできません。死ぬまで女を忘れ隠密暮らしにすべてを捧げるしか…。
はっ、ついついお話の度が過ぎたようです。フフッ。あなたさまがあまりにも熱心にわたくしのお話を聞いてくださったから、私もすこししゃべりすぎました。
わたくしに見張りが着きました様子。これ以上何もはなすなとの命令ですので。
また、何か縁あってお会いできる日を楽しみに待っております。
さぁ、怪しい気配がないうちにお帰りなさい。
Posted by ogata at 14時26分 TrackBack ( 0 ) Comment ( 0 )
2008年10月20日(月)
茶屋の婆 [思いつき]
茶屋を開いて五十年になります。家康様がこちらで幕府を御開きになった頃からです。
もとより、水が綺麗な場所でありますからして、美味しいお茶とお団子ができました。町民の憩いの場としての始まりでした。最近では、お寺詣り帰りのお武家様の奥方様方々からたいそうご好評頂いております。
また、夏には冷たい井戸水で冷やしたトコロテンが、町回りのお役人様や外回りの商人の方まで、お立ち寄り頂けるようになりました。ツルンとした喉ごしが暑い夏にはたまらない、とお褒めいただきます。
ただ、婆も寄る年波には勝てず、少し疲れましたわい。誰か代わって頂ける者はおらんかと探しておりまして。婆も一応、独身ですぞ。ヒヒッ。
おやおや。もう、こんな時間だ。明日の仕込みをしなきゃ。
こんな婆の話を長々とお聞きいただきありがとうございます。また、立ち寄ってください。まだ、店が開いてたらですがね。ヒヒッ。
Posted by ogata at 19時02分 TrackBack ( 0 ) Comment ( 0 )
2008年10月17日(金)
傘職人 [思いつき]
ふすま飾りを作り続けて四十年。
そりゃ、昔は失敗続きで親方に殴られる日々。
彫刻刀が顔をかすめる事など日常茶飯事だった。
今では細かい作業も俺の指先一つで全てが決まる。
例え眼をつむっていても100%、いや1000%の仕上
がりになる自信がある。それだけ俺の指先には命が
宿っている。
指先の感覚が衰えた時。その時が引退だ。
惜しまれても意味がねぇ〓
後はドブさらいでもやって過ごすさ。
おっと、時間だ。またな。
Posted by ogata at 17時00分 TrackBack ( 0 ) Comment ( 0 )
【 過去の記事へ 】






